不正咬合の原因
不正咬合の原因
不正咬合の原因は、以下の2点で考えることができます.
- ひとつは「もって生まれたもの」
- もうひとつは「生まれた後の環境」です.
ここでは、それぞれの原因について、代表的なものを考えてみます.
遺伝
カエルの子はカエル のたとえ通り、親子・兄弟で不正咬合の状態が似る場合が多くみられます.
日本人に比較的多く、遺伝的な要因が強いと考えられる代表的な不正咬合に下顎前突があります.上下の前歯のかみ合わせが反対であるため、反対咬合ともよばれます.
正確には、下顎骨前突というべきかもしれません.下顎骨が大きく、上顎骨との大きさの調和がとれませんから、上下の歯がうまくかみ合いません.
また、下顎骨の成長が比較的高い年齢まで残り、矯正治療により、一時的に回復していたかみ合わせが、高校生以上で再び反対になってしまうこともよく経験します.
遺伝のため、上下のあごの骨、つまり骨格に不調和がある不正咬合に対して、歯を移動させるだけの矯正治療では、改善が望めません.外科的に下顎骨を後退させる、外科矯正の適応となります.
歯の大きさや数も遺伝により決められています.
環境
現代のこどもは、かたいものを食べなくなったので、あごの骨が小さくなったといわれ始めてからかなりの年月が経とうとしています.このことは、多くの方がどこかで聞かれたことと思います.
口の働きの発達不足
口の働きは食べることだけではありません.大きく分けると
- 食べる(飲み込むことも含めて)
- 話す
- 呼吸する
これらの働きの発達が、歯ならびやかみ合わせに大きな影響を与えます.
- かめないだけでなく、飲み込めない.
- 口をポカンとあけたまま、鼻で呼吸をしない.
- 発音がはっきりしない.
など、現代人には、口の働きの発達が不充分と思われるケースがよくみられます.当然、口のなかでは不正咬合がおこっています.
口のまわりの筋肉の問題です.
習癖
習癖(しゅうへき)、あまり好きな言葉ではありませんが、癖(クセ)のことです.
- 指しゃぶり
- おしゃぶり
- ツメかみ
- タオル吸い
いろいろなものがあります.以前、専門家の間では、悪習癖という言葉を使っていました.歯ならびやかみ合わせの観点からすれば、確かに「悪」なのです.しかし、悪い面からばかり見るのではなく、そうせざるを得ない事情、また、そのクセの意味を考え、「悪」いう言葉は使わないことになりました.
話がそれました.
小さなお子さんを、それも、上記の習癖のあるお子さんをお持ちの保護者の方には大きな心配の種だと想像されます.
できるだけ早く、そのクセから卒業する方がよいに決まっていますが、無理に止めさせることもないと、私たちは考えています.いつかは必ず卒業しますから、それまで待ってあげてもいいのではないでしょうか.将来矯正治療すれば解決できるのですから.
その他
不正咬合の原因はその他にも多くあります.
たとえば、乳歯のムシ歯.いつかは永久歯にはえかわるのだから、乳歯のムシ歯はそのままにしておいても大丈夫.ではありません.
事故で歯を失うことも、不正咬合の原因となります.